タイムカプセル

カラマーゾフを読んだ後、なんとなく荷解きもしてない段ボール箱をあさったら、なぜか新潮文庫カラマーゾフ下巻が出てきた。
しばらくして思い出した。
たしか高校生のときにドストエフスキーを読もうと、ぽつぽつと古本屋で本を集めつつ、まず罪と罰を読んだ。老婆をぬっ殺すところと、ポルフィーリーのネチネチ感は面白かったものの、なぜ絶賛されてるかさっぱりわからず、そのほかの著作を読むのを投げ出したので、中途半端に本がそろってるのだった。

高校生の頃は、親が無理して私立の、しかも寮に入れて頂いたので、小遣いは少なかった。
高校は某関西のなだらかな山脈に抱かれるように建っており、娯楽施設など周りに何もなかったことも相まって、古本屋で漁った本を読むのが楽しみだった。
「十年以上読まれている本じゃなきゃ読む価値なし」などと青臭いことを言って、世界の名作文学を読み散らすものの、青臭い頭ではほとんど理解できないこともしばしば。
カラマーゾフ下巻は、そんな俺の黒歴史の名残。