冬至と神秘体験
影が日に日に長くなって、冬至がやってくる。
北半球では一年で一番昼が短くなる日で、ゆず湯に入り、カボチャを食べると風邪をひかないと言われる。(wikipedia)
アメリカにいたときは、まったくそんな事など考えなかったが、あちらでは割とそういう古くからの慣習を大事にするところがあって、その影響か何かと日本の色々なことを調べるようになった。
京極夏彦の小説や、今市子の百鬼夜行抄などでしばしば語られる、今の日本ではあまり顧みられないそういった慣習だが、アメリカでは各民族固有のしきたりが未だに守られているようだ。
ところで、在米時代の同僚(女性)の知り合いの話。
腹にはナイフのものと思われる無数の傷痕。胸にはHard to KILL(ちょっとやそっとじゃこの俺は殺せないぜ)というタトゥー。
その友人も最初はビビったのだが、喋ってみるとこれが紳士であった。
いろいろ話を聞いてみると、なんでも昔は相当の暴れん坊で、いろいろと無茶をしたらしい。その無茶に関しては、洒落にならなさそうなので俺はあまり聞きたくないし、その友人も聞かなかった。
そんなハードコアなバッドガイが、ある朝目覚めたら「ボクは生まれ変わっていたんだ。」そうだ。
その日を境にヤクザ稼業から足を洗ってカタギの職に就き、イキナリまっとうな人間へ。
それどころか娘にエンジェルと名付けるくらい信心深くなってしまった。
その友人も言っていたが、話した感じでは、昔の話が信じられないくらい温厚だったそうだ。
これは一種の神秘体験、宗教体験が彼に訪れたのだと見ることができるが、その結果として、エンジェルちゃんという名前に現れた通り、それをもたらした土壌というか、精神的バックグラウンドがあってこそなのだとも思う。