最近読んだ本

スカラムーシュ (創元推理文庫 513-1) サバチニ

すげえ面白い。
舞台は革命直前のフランス。いつも冷めてるアンドレ・ルイだが、親友を悪の侯爵にぬっ殺されてから、侯爵との因縁が始まる。

一つのクライマックスは侯爵との舌戦。
「私の友は、あなたの卑劣な嘘で侮辱され、あなたを殴った」
「しかし今度は、私の暴いたあなたの卑劣な真実に我慢ができず、私を殴った」
「いつだって卑劣なのは、あなたなんですね」
ドーン!
カックイイ!

細かなところでは、例えばルイが何でもさらっと出来て、ちょっと都合が良すぎないか?と思うこともあるが、一方で、最後の最後までネタが仕込んであって驚いた。

ところで。いっつも冷めてるルイが、なぜこんな侯爵と熱いやりとりをするようになったかというと、ルイにとっての「善の化身である幼なじみの女性(影が薄くて名前も速攻で忘れた)が、悪の化身である侯爵の虚飾によって貶められようとするのが耐えられない」からだそうだ。(要するにその幼なじみが悪侯爵に求婚された)


海底二万里 (創元SF文庫) ヴェルヌ

ウォクウォクした。
陸上の国の束縛から逃れ、当時最先端の技術で固めまくった潜水艦ノーチラスで自由に海を渡るネモ船長のお話。
冷静沈着にして頭脳明晰、剛毅にして部下思いだが、戦艦を見かけた時だけはブチ切れる謎の船長への興味と、要所要所で挟まれる科学的な説明が面白い(ただし博物学観点での分類談義は除く)
結局、なぜ船長が陸を捨てたか、謎の答えは垣間見えるだけで明かされずに終わる。
が、これがまた変に説明されればガッカリするので、これでいいと重う。


「知」のソフトウェア (講談社現代新書) 立花隆

立花隆の情報のインプット/アウトプットの仕方を書いたもの。
たとえば、分類をしていて、既存のカテゴリでは分類できない要素が出てきたら、そもそもの分類方法をまったく変えてみると、思わぬ観点が生まれて良い、とか。


一絃の琴 (講談社文庫)

読んでてくたびれた。
何人もの女性の一生を淡々と書いててすげえと思った。何で書けるのか。
どんな経験積んだら、こんな描き分け出来るんだろう?



信じることと、疑うことと (ちくま文庫)

この人の話は超わかりやすい。確か、高校生の時分にもこの人の本(「権威と権力」)を読んだことがあり、分かりやすくて驚いた覚えがある。
自分の思っていることを、平易な、誰でも分かる言葉で説明出来るのは大変な事だと思った。
本の中でも、頭の固そうなおじいさんとの会話が出てきたりするが、子供電話相談室で小学生と対等に議論を積み上げ、合意に至る話などは作者の面目躍如。
人と喋るときには、一人で突っ走ることのないよう、気をつけようと思った。


失敗は予測できる (光文社新書)

ある失敗をしたときに、どれだけ抽象化して類推できるかによって、失敗が防げるかどうかが決まりますよ、というお話。
その他、失敗のパターンも書いてあって面白かった。
新書にしてもやたら薄かったけど。