フェルマーの最終定理
フェルマーの最終定理を読んだ。
とても面白かった。
17世紀にフェルマーが「この定理について驚くべき証明を見つけたが、余白が足りないのでそれを記すことが出来ない」と思わせぶりに記してから数百年、20世紀末にやっと証明されたフェルマーの最終定理。
最終的に証明されるくだりよりも、そこに至るまでのいろんな試みや、証明そのものについての話が面白かった。
そもそも、証明とはすごく抽象的な運動なのに、一度証明されればそれは真実といえるその神秘さ。
たとえば背理法とか恐ろしい。
- ある命題が真だと仮定すると、こういった法則が成り立つはずだ。
- ところが、このケースでは成り立たず矛盾する。
- したがって、この命題は偽である! ババーン!
このように、一見言葉遊びのようなのに、まったく論理に隙がないというのが恐ろしい。
また、虚数だってそうだ。「二乗したら負になるような数を虚数って言うことにしようぜ」なんて、たぶん当時としては驚天動地というよりむしろ噴飯ものの話だと思うが、こういう、今までなかった得体の知れない概念に名前をつけて扱うという方法にはちょっと感心した。(たぶんゼロの概念もそうだったんだろうな…)
こういったように、数学者はいわば「武器」とでも言うべき証明方法やら概念を編み出しては、フェルマーの最終定理に挑み、数世紀にわたって死屍を累々と築いてきた歴史が、とてもおもしろかった。
しかし、中学高校で数学はやったはずなのに、ここまでエキサイティングな思いはしなかったのはなぜだろう?