ジュール・ヴェルヌ: 十五少年漂流記

ヴェルヌの十五少年漂流記を読んだ。
小さい頃、ちびっ子向けに訳されたものは読んだことはあるけど、きちんとしたものは始めて。
で、とても面白かった。

冒頭はいきなり大嵐から始まり、稲光で浮かび上がる船影。このあたり映画的。
で、そのマストも折れてしまったヨレヨレの船を必死に操るのはなぜか子供だけ。

そんな導入から、ひょんなことから(といってもシャレにならないが)無人島に漂着した少年十五人が、どのようにして生活してゆくか。十五人もいれば当然発生するグループ内の軋轢や、後半にかけて大きな事件が発生して、それらが読み進ませる燃料になって速攻で読み終わった。

十五少年漂流記 (新潮文庫)


ところで、少年達はニュージーランドの同じ学校に通う生徒だが、出身国はさまざま。
イギリス人、フランス人にアメリカ人である。
そういうこともあって先述のゴタゴタがグループ内に発生してしまうわけだが、それがまた各キャラを生かしている。少なくとも主要人物だけは。

そのうちの一人、アメリカ人のゴードンは「無人島で暮らすことは、自分の力を試す絶好の機会だ」と考えてたりする。
さすがアメリカ人と感心した。



その他、印象に残ったのは皆に好かれるリーダー、フランス人のブリアンの言葉。
「なぜ僕たちは子供なんだろう。大人でなければならない時に。」


ところで、十五少年漂流記というタイトルは日本のもので、原題は「二ヶ年の休暇」というそうな。
劇中では、十五人というというよりも、十四人と一人として把握されていて、これはなぜかというと、一人は黒人のボーイであるから。生々しい。


実はこの本の前に、スチーブンソンの宝島を読んだ。
こっちは、ミステリアスな導入部とはうらはらに、のっぺりとしたストーリー展開でがっかりした。