重耳

宮城谷昌光の重耳を読んだ。
中国は春秋時代の晋の王様の話。
跡目争いの結果、19年に渡って諸国を放浪したのち、王座に返り咲きました、という話。

だが。

一番面白かったのは、主人公重耳の祖父、武公が権謀術数で晋を統一するところ。
もともとは武力に物を言わせて暴れ回っていた彼が、急に方針転換をして搦め手であれやこれやと攻めるのがよかった。
一方で、メインといえる主人公の放浪は、一点をのぞき淡々と話が進んでつまらない。


その一点とは、重耳に夢を託し、朝日の中彼の後を追う部下のシーン。グッド。
重耳(下) (講談社文庫)


その他に面白かったのは、各国で重職にある人間がいろんな判断を下すところ。
読んでる立場からしたら「あー。やっちゃったー」と思う場合でも、当事者となったらそうもいかないんだろうなとか、こんな微妙な判断俺だったら出来んのかとか、そう考えながら読むのがよい。